in3 Open Dialogueサステナビリティデモンストレーショントランスフォーメーション組織づくり認知開発
戦略と実行の乖離を超える「認知開発」 — メンタルモデル変容によるトランスフォーメーション —
2025.10.03
先日ご案内いたしました「認知開発デモセッション:サステナビリティ・トランスフォーメーション」(10月24日(金)14:00〜17:00 👉 詳細・お申し込みはこちら)に対し、「認知開発についてもっと詳しく知りたい」というお声を多数いただきました。今回は、セミナーで扱うテーマの背景にある考え方を、複数の図を交えながらご紹介します。
戦略が実行に移らないのはなぜか
DX推進、人的資本経営、サステナビリティ経営など、多くの企業が重要な戦略を掲げながら、現場では 「動きが鈍い」「結局いつものやり方に戻ってしまう」という声が絶えません。
その原因は制度やスキル不足ではなく、組織が無意識に共有する「ものの見方(認知)」や「メンタルモデル(暗黙の考え方)」が固定化していることにあります。
戦略を実行に移すには、仕組みだけでは足りません。視座が変わらなければ、行動も変わらないのです。
図1:固定化したメンタルモデル —— 自己正当化の2つのループ
組織の行動は「認知 → メンタルモデル → 行動 → 学習」のサイクルで繰り返されます。
しかしメンタルモデルが固定化すると、認知は既存の前提に引き寄せられ、 「やはり従来のやり方が正しい」と自己正当化を繰り返します。
その結果、図にあるように、
■メンタルモデルと行動のループ(下図右)
①行動変容は生まれない(いつもの行動の正当化に陥る)
②学習は起きない(変化のない行動の繰り返し)
■認知とメンタルモデルのループ(下図左)
③探究は起きない(いつもの目線の正当化に留まる)
④認知開発は進まない(広がらない視点・視座・視野)
このように「認知の壁」とも呼べる閉じた2つの自己正当化ループが形成され、組織は変化の機会を失っていきます。
今回のセミナーでご紹介するシナリオ型シミュレーションも、まさにこの『認知の壁を越える体験』を意図しています。

図2:揺らぎ始めるメンタルモデル —— 変化への介入
この「認知の壁」にひびを入れるのが、認知開発です。
では、そのとき何が起きるのでしょうか。
メンタルモデルに小さな揺らぎが生まれると、「いつもの前提」に縛られない新しい認知が立ち上がります。
それが小さな行動変化の芽となり、学習のきっかけを生みます。
重要なのは、行動はあくまで結果にすぎず、変化の本質はメンタルモデルの揺らぎ=視野・視座の更新にあるという点です。

図3:更新されるメンタルモデル —— 組織文化の進化(トランスフォーメーション)
さらに図3に示すように、メンタルモデルが更新されると、「探究 → 認知開発 → 行動 → 学習」という自己強化ループが回り始めます。
これは単発の改善ではなく、組織文化を進化させ続ける持続的変革の仕組みです。 クリス・アージリスやピーター・センゲが提唱したダブルループ学習と重なり、 前提や枠組みそのものを問い直す学習が、変革のエンジンとなります。
① 新しい考え方に基づいた行動
② 経験からの学習(=前提や行動の変化を伴う学習)
③ 探究(=前提の問い直し)
④ 認知のさらなる更新
⑤ 組織文化の進化(=トランスフォーメーション)
この循環が組織に定着すると、戦略と実行の乖離は自然と埋まっていきます。

認知の壁を越えるために必要なこと
この壁を越えるには、制度や仕組みの整備だけでは不十分です。
社員一人ひとりが 「自分の当たり前が揺さぶられる経験」 を持てるよう、経営やリーダーが場をデザインする必要があります。
例えば:
• 戦略をシナリオで検証するワークショップ
• 部門横断で未来像を描くクロスファンクショナル対話
• 無意識の思い込みを言語化し、相互に相対化するプロセス
こうした仕掛けが日常に組み込まれることで、学習と変革のサイクルは定着し、戦略と実行の乖離は解消に向かいます。
認知開発の3つの原則
1. 可視化する —— 無意識の前提を言葉にする
2. 揺さぶる(ざわざわさせる) —— 異なる視点に触れて枠組みを相対化する
3. 結びつける —— 新しい認知を行動や意思決定に反映させる
あらためて、次回セミナーのご案内
今回のメールでは、理論的な背景を整理しました。
実際に「認知の壁を越える」エッセンスを体験いただくのが、「認知開発デモセッション:サステナビリティ・トランスフォーメーション」(10月24日(金)14:00〜17:00 👉 詳細・お申し込みはこちら)です。
このセッションで用いるシナリオ型シミュレーションCELEMI Sustainability™も、まさに『認知の壁を越える体験』をデザインしています。
今回はサステナビリティ経営がテーマですが、「戦略はあるのに現場が動かない」と感じている方にこそ、ぜひこの機会にご参加いただければ幸いです。
現場の変化は、認知の壁を越えた先から始まります。

Seminar

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